樹脂系サイディングとは？
樹脂系サイディングは、塩化ビニル樹脂を主成分とする外壁材で、特に北米で広く普及しています。日本でも徐々に注目されており、その特徴や利点から多くの住宅で採用されるようになっています。
特徴
樹脂系サイディングは、非常に軽量で建物への負担が少ないのが大きな特徴です。窯業系サイディングの約1/10の重さしかなく、耐震性を高める効果があります。また、素材自体に顔料が練り込まれているため、長期間にわたって変色しにくいのも大きなメリットです。これにより、塗装の手間やコストを大幅に削減できます。
もう一つの特徴は、その弾力性です。樹脂系サイディングは衝撃に強く、ひび割れや凹みが発生しにくいです。特に台風などの強風や飛来物に対しても、その耐久性を発揮します。また、寒冷地では雪圧にも耐えることができ、凍害によるひび割れもほとんどありません。
メリット
樹脂系サイディングの最大のメリットは、そのメンテナンスフリー性です。他の外壁材と比べて塗装やコーキングの必要がほとんどなく、長期間にわたり美観を保つことができます。これにより、定期的なメンテナンスにかかるコストや手間を大幅に削減できます。
さらに、樹脂系サイディングは耐久性が非常に高く、凍害や塩害に強いです。特に寒冷地や海沿いの地域では、その耐久性が大きな利点となります。また、樹脂系サイディングは防火性も高く、火元に接していない限り自然に消火する特性があります。これにより、火災時の安全性が向上します。
デメリット
一方で、樹脂系サイディングにはいくつかのデメリットも存在します。その一つが、デザインの選択肢が少ないことです。他の外壁材と比べてカラーバリエーションやデザインの種類が限られており、個性的な外観を求める方には物足りないかもしれません。
また、樹脂系サイディングは専門業者が少ないという点もデメリットです。国内での普及率が低いため、施工実績のある業者が限られており、信頼できる業者を見つけるのが難しい場合があります。さらに、初期費用が他の外壁材よりも高額になることが多い点も考慮する必要があります。
樹脂系サイディングの施工と費用
施工のポイント
樹脂系サイディングを検討する際には、以下のポイントに注意してください。
適用条件: 樹脂系サイディングは寒冷地や海沿いの地域で特に効果を発揮します。これらの地域では、凍害や塩害に対する耐性が求められますが、樹脂系サイディングはこれらの問題をクリアします。また、メンテナンスの手間を減らしたい方にも適しています。
施工方法: 樹脂系サイディングの施工にはオープンジョイント工法がよく用いられます。この工法は、外壁材の裏側への雨水の侵入を防ぎ、建物全体の耐久性を高めます。また、樹脂系サイディングは非常に軽量であるため、建物への負担が少なく、耐震性を向上させることができます。
メンテナンス: 樹脂系サイディングは基本的にメンテナンスフリーです。塗装の必要がなく、紫外線や風雨による劣化が少ないため、長期間にわたり美観を保つことができます。ただし、定期的な点検を行い、必要に応じて専門業者に相談することが重要です。
費用の目安
樹脂系サイディングの施工にかかる費用は、建物の規模や条件によって異なりますが、おおよその目安は以下の通りです。
張替え工事の費用: 樹脂系サイディングの張替え工事を行った場合の費用は、約150万〜230万円程度です。これは、他の外壁材と比べても高額ですが、その分メンテナンスコストが抑えられるため、長期的にはコストパフォーマンスが高いと言えます。
メンテナンス費用: 樹脂系サイディングは基本的にメンテナンスフリーですが、定期的に専門業者による点検を行うことが推奨されます。点検費用や必要に応じた補修費用は、1回あたり約10万〜20万円程度かかることがあります。
他の外壁材との比較: 他の外壁材との費用を比較すると、窯業系サイディングや金属系サイディングに比べて初期費用は高めですが、メンテナンスの手間が少ないため、トータルコストでは競争力があります。窯業系サイディングの場合、10年ごとに塗装のメンテナンスが必要で、その都度100万〜150万円程度かかることがあります。
樹脂系サイディングを選ぶ際には、初期費用だけでなく、長期的なメンテナンスコストも考慮することが重要です。特に、寒冷地や海沿いの地域での使用を検討している場合、その耐久性とメンテナンスフリーの特性が大きなメリットとなります。業者選びに関しては、実績のある信頼できる専門業者に依頼することをお勧めします。
他の外壁材との比較
窯業系サイディングとの比較
窯業系サイディングは日本で最も普及している外壁材であり、耐久性とデザイン性に優れていますが、定期的なメンテナンスが必要であり、10年ごとに塗装のメンテナンスを行う必要があります。これに対して、樹脂系サイディングはメンテナンスフリーであり、塗装やコーキングの手間がかからないため、長期的にはコストを抑えることができます。
窯業系サイディングは多様なデザインやカラーがあり、外観のバリエーションが豊富です。そのため、建物のスタイルに合わせて自由に選ぶことができます。一方で、樹脂系サイディングはデザインの選択肢が限られていますが、最近では多くのメーカーが新しいデザインやカラーを提供し始めています。
耐久性に関しては、窯業系サイディングも高い耐久性を誇りますが、ひび割れや塗装の剥がれが発生しやすいため、定期的なメンテナンスが必要です。樹脂系サイディングは、その弾力性と耐候性により、ひび割れや変色が少なく、メンテナンスの頻度が少ないのが特徴です。
施工のしやすさにおいては、窯業系サイディングは重いため、施工には専門的な技術が必要ですが、一般的な施工方法として広く普及しています。樹脂系サイディングは軽量であり、施工も比較的簡単ですが、普及率が低いため、施工経験のある業者を見つけることが重要です。
金属系サイディングとの比較
金属系サイディングは軽量で耐久性が高く、特にサビに強い特性がありますが、塩害には弱く、海沿いの地域では劣化が早まる可能性があります。樹脂系サイディングは塩害にも強く、耐久性の面で優れていますが、初期費用が高いというデメリットがあります。
金属系サイディングは、その耐久性と軽量性から多くの住宅で使用されています。しかし、塩害に弱いため、海沿いの地域ではサビが発生しやすく、メンテナンスの頻度が増える可能性があります。一方、樹脂系サイディングは塩害に強く、海沿いの環境でも長期間美観を保つことができます。また、樹脂系サイディングはその弾力性により、衝撃に強くひび割れや凹みが発生しにくい特性があります。
さらに、金属系サイディングは高い防火性を持ち、火災時の安全性が高い点も評価されています。しかし、樹脂系サイディングも同様に防火性が高く、火元に接していない限り自然に消火する性質があるため、どちらも安全性の面では優れています。
施工の面でも違いがあります。金属系サイディングは比較的簡単に施工できますが、樹脂系サイディングは施工には専門的な知識と技術が必要です。特に、オープンジョイント工法などの施工方法を採用することで、外壁材の裏側への雨水の侵入を防ぐことができます。
木質系サイディングとの比較
木質系サイディングは天然の木材を使用しており、自然な風合いを楽しむことができます。しかし、雨水に弱く、定期的な再塗装が必要です。また、木材は防火性が低く、耐久性も他のサイディング材と比べて劣ります。一方、樹脂系サイディングは防火性が高く、メンテナンスフリーであるため、長期間にわたり安心して使用することができます。
樹脂系サイディングと木質系サイディングを比較すると、まずメンテナンス性の違いが大きなポイントとなります。木質系サイディングは定期的な塗装や防水処理が必要であり、その都度コストと手間がかかります。対照的に、樹脂系サイディングは基本的にメンテナンスフリーであり、長期間にわたって美観を維持することが可能です。
デザインの面では、木質系サイディングは自然な木の風合いを持ち、暖かみのある外観を作り出します。一方、樹脂系サイディングはデザインやカラーバリエーションが限られていますが、最近ではメーカーによって新しいデザインが次々と開発されており、選択肢が広がりつつあります。
耐久性の面でも違いがあります。木質系サイディングは湿気に弱く、長期間の使用によって腐食や虫害が発生する可能性があります。樹脂系サイディングはこれらの問題に強く、特に寒冷地や海沿いの過酷な環境でも高い耐久性を発揮します。
樹脂系サイディングの選び方
選定のポイント
樹脂系サイディングを選ぶ際には、以下のポイントに注意してください。
メンテナンスフリーである点を重視: 樹脂系サイディングの最大の利点は、メンテナンスフリーであることです。塗装やコーキングの必要がほとんどないため、長期間にわたり美観を保つことができます。また、メンテナンスにかかるコストや手間を大幅に削減できます。
耐久性の高さ: 樹脂系サイディングは、凍害や塩害に強く、寒冷地や海沿いの地域でもその耐久性を発揮します。また、弾力性があるため、ひび割れや凹みが発生しにくく、長期間にわたり美観を維持することができます。
軽量性: 樹脂系サイディングは非常に軽量であり、建物への負担が少なくなります。これにより、耐震性が向上し、地震が多い日本においては特に有利です。また、軽量であるため施工も比較的容易であり、リフォーム時にも扱いやすいです。
施工実績のある業者を選ぶ: 樹脂系サイディングは普及率が低いため、施工実績のある信頼できる業者を選ぶことが重要です。専門業者による適切な施工が、長期間にわたる耐久性と美観の維持に直結します。
デザインの選択肢: 樹脂系サイディングは他の外壁材と比べてデザインや色のバリエーションが限られています。自分の好みや建物のスタイルに合ったデザインを選ぶために、複数のメーカーや製品を比較検討することが重要です。
おすすめメーカー
国内で樹脂系サイディングを扱う主なメーカーとして、以下のような企業があります。それぞれの特徴や製品特性を比較し、自分のニーズに合ったものを選びましょう。
ゼオン: ゼオン化成株式会社が提供する樹脂系サイディングは、耐久性とメンテナンス性に優れています。特に、凍害や塩害に強い製品が揃っており、寒冷地や海沿いの地域での使用に適しています。長期間にわたって美観を保つことができるため、多くのユーザーに支持されています。
ケイミュー: ケイミューは、様々な外壁材を提供する大手メーカーであり、樹脂系サイディングもその一環としてラインナップされています。デザイン性やカラーバリエーションが豊富で、選択肢が広がります。最新の技術を取り入れた製品が多く、品質面でも高評価を得ています。
ニチハ: ニチハ株式会社は、外壁材の分野で高いシェアを誇るメーカーです。樹脂系サイディングも取り扱っており、耐久性と防火性に優れた製品を提供しています。特に、施工のしやすさや長期間の耐候性に定評があり、多くの住宅で採用されています。
アイジー工業: アイジー工業株式会社も、樹脂系サイディングの分野で注目されています。独自の技術を駆使し、耐久性と美観を兼ね備えた製品を提供しています。特に、環境に配慮したエコフレンドリーな製品ラインが人気です。
ミサワホーム: ミサワホームも樹脂系サイディングを取り扱っており、デザイン性と機能性の両立を追求した製品を提供しています。高い耐久性と低メンテナンス性を実現しており、特にデザインにこだわりたいユーザーにおすすめです。
施工事例とユーザーの声
施工事例
ケース1: 北海道の寒冷地
北海道の寒冷地に住むユーザーが樹脂系サイディングを採用した事例では、冬季の厳しい環境下でもひび割れや損傷がほとんど見られませんでした。特に、雪圧や凍害に対する耐久性が評価されています。さらに、雪が溶けた後も外観を維持できる点が大きなメリットとされています。
ケース2: 海沿いの地域
海沿いの地域では、塩害による劣化が懸念されますが、樹脂系サイディングは塩害に強く、長期間美観を保つことができるとされています。実際に、施工後数年経過した住宅でも、錆びや腐食が見られないことから、その耐久性が確認されています。
ユーザーの声
多くのユーザーが指摘する最大のメリットは、メンテナンスフリーであることです。「他の外壁材に比べて塗装の必要がないので、維持費がかからず助かっています」という声が多数寄せられています。特に、仕事や家庭で忙しいユーザーにとって、メンテナンスの手間が省ける点は大きな魅力です。また、「塗り替えの手間がなく、家全体の美観を長期間保てるのが良い」といった意見も多く聞かれます。
耐久性の高さについても評価が高いです。「長期間にわたって美観を保てることが魅力です。台風や強風にも耐える強度があり、安心して住むことができます」といった声も多く寄せられています。樹脂系サイディングの耐久性の高さが、ユーザーの安心感を支えています。特に、寒冷地や海沿いの地域に住むユーザーからは、「冬の厳しい環境下でもひび割れがなく、安心して過ごせます」という声が聞かれます。
デザインについては、やや不満を持つユーザーもいます。「もっと多彩なデザインやカラーがあれば、選びやすくなるのに」といった意見も見受けられます。これに対しては、メーカー側も新しいデザインやカラーバリエーションを増やす取り組みを進めているところです。
一方で、施工の難しさについても指摘があります。「施工には専門的な知識と技術が必要で、信頼できる業者を見つけるのが大変だった」という声もあります。信頼できる業者による適切な施工が、樹脂系サイディングの性能を最大限に引き出すためには不可欠です。
